新生産システム推進対策事業
新生産システムモデル地域・年度(平成21年度)
熊本
対象流域一覧
白川・菊池川流域、緑川流域、球磨川流域、天草流域
森林・所有者情報データベース事業運営者
熊本県森林組合連合会
担当コンサルタント
NPO法人FORI森林誌研究所
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スギの2×4材 |
システム事業体のひとつであり、有力国産材製材工場として当モデル地域の取り組みの一翼を担う(株)松島木材センター(熊本県上天草市、鍬本行廣社長)では、平成20年度に新たな製材ラインを導入し、原木消費能力・製材品生産力を強化した。
製材は角採りや板挽きのすべてをツインバンドソー1基で行う独特のシステム。乾燥面でも、高温と中温の人工乾燥機を組み合わせたKD材生産に対応するなど、独自の方式を編み出している。
ツーバイフォー部材の生産にも対応し、地域材の販路拡大に努めている。
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■ ツインバンドソー1基でオールマイティ製材
松島木材センターは昭和39年に造船用材の製材メーカーとして創業した(当時の社名は鍬本製材所)。建築用材の製材には50年代からシフトした。
年間の原木消費量は平成20年度が3万m3。同年度中に新たな製材ラインを整備したことで生産力は大幅に強化されており、近い将来、原木消費量を年間6万m3にまで引き上げることを視野に入れている。
原木の種類は9割がスギの3m材。山元からの直送と原木市場経由での協定取引の二本立てとし、安定して確保できる体制を整えている。
製材方法は芯から柱を採り、側から間柱を採るのが基本システム。柱と間柱はすべてKD材として出荷している。側板からは瓦桟(主要な寸法は3m×15mm×30mm)を挽いているほか、割り箸の製造も行っており、小さな製品まで挽いて原木を有効に活用するのが同社の基本スタンスだ。
製材ラインはノーマンのツインバンドソーが基本的にすべての切削工程を担当する独特のシステムで、側から小割材を取り、芯から角材を取る一連の工程をすべてツインバンドソー1基で行う。丸太をすべて板割りする場合も同様である。さらに、あらかじめ丸太の形状に合わせた木取りパターンをコンピューターに入力しておくことにより、一連の工程はすべて無人化されている。
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ツインバンドソー1基で板割までの工程をすべてこなす |
■ 高温と中温の組み合わせで独自のKDシステム
製品の品質管理については、平成5年ごろに人工乾燥機を導入、品質の安定に取り組んできた。KD材の生産を始めた当初は、販売が思うように進まなかった場面もあったが、その後、プレカットが本格的に普及するようになって市場からの引き合いも徐々に増加していった。
乾燥機は蒸気式で、高温タイプが4基(容量50m3×3基、30m3×1基)と中温タイプが2基(容量は1基が6室×50m3で300m3=間柱換算。柱換算なら1基が420m3)。乾燥の熱源には木屑焚きボイラーを利用している。
間柱などの板材は中温乾燥で処理することとし、あらかじめ天然乾燥を行ってから乾燥機内に投入する。温度は60℃。
柱や桁などの角物は高温タイプを利用し、ドライングセット処理で表面割れを防止している。ただ、最近、高温乾燥材の内部品質低下が問題視され始めていることを受け、高温乾燥機でドライングセットをかけた後、中温タイプの乾燥機に移して60℃で仕上げ乾燥を行う方式に転換する方針でいる。
■ スギ2×4材の製造に着手
平成21年11月からは、大手ツーバイフォーメーカーの大東建託(本社=東京)向けにスギ2×4材(2.4m×38mm×89mm)の生産を開始した。
ツーバイフォー工法では縦使いのスタッドが長さ2,400mmとなるため、3mや4m、あるいは3.65mといった国産材の基本的な造材パターンでは対応できないとされてきた。しかし、この問題については、九州森林管理局が長さ2.4mに造材した丸太のシステム販売を実施することになり、対応のメドが付いている。
ただ、最初から2.4mの丸太を挽くのでは、他用途への転用が利かないという問題もあるため、3m材から製材した後に長さを調整するという方式も採っている。