新生産システム推進対策事業
新生産システムモデル地域・年度(平成21年度)
~国産材への期待に応えられる体制づくりを~
平成18年度から5カ年計画で進められている林野庁の「新生産システム」による取り組みは、21年度でスタートから4年間が経過しました。この間、全国11カ所のモデル地域では、それぞれの地域事情を踏まえつつ、素材生産力強化、原木安定供給体制の構築、加工事業体の生産力強化・製品の高品質化に取り組んできました。具体的には、山元では林地集約化の推進や路網整備、高性能林業機械を駆使した生産システムの構築、加工事業体への直送を効率的に行うための仕分け機能の強化などが進められ、各加工事業体では製材施設整備による生産力増強、低コスト化、人工乾燥施設導入による乾燥材供給力強化などが図られてきました。それらの取り組みにより、各モデル地域では地域材原木・製品の供給力が着実に高まってきています。
この4年間の林業・木材産業をめぐる情勢を振り返ると、18年度は外材の供給不安から合板や集成材を中心とする木製品の価格が高騰し、市況は活発に推移したものの、19年度になると建築確認審査厳格化の影響で住宅建築が停滞し、市況が一気に悪化、20年度は後半から米国サブプライムローンの破たんに端を発した世界的な景気低迷の影響で、住宅着工が減少し、木材価格も低迷、21年度も前年度からの不況が継続し、木材需要は大幅に減少--というように、地域材の利用拡大を図るという観点からは、必ずしも芳しくない状況が続いています。
ただ、その一方で国産の木材に対する期待感は確実に高まっており、最近は大手ハウスメーカーや建材メーカーの中でも、国産材を採用するところが出てきています。さらに平成21年12月には今後10年以内に国産材のシェアを50%に拡大するとの目標を掲げた「森林・林業再生プラン」が政府から発表され、今後は目標実現のための施策が強力に推進されることになっています。
このように国産材をめぐっては、着実にプラス要素が増えてきており、林業・木材産業界としては、そうした情勢変化に的確に対応することが求められます。各モデル地域が国産材シェア拡大の駆動力になるよう、それぞれの取り組みをいっそう強化することが望まれます。