新生産システム推進対策事業
新生産システムモデル地域・年度(平成19年度)
~国産材市場拡大の「モデル」事例に~
林野庁の「新生産システム」が平成18年度にスタートしてから2年間が経過しました。この間、全国11カ所のモデル地域では、森林経営・施業の集約化による素材生産コストの削減や生産力の強化、山元から製材工場への原木直送システムの構築、加工施設の整備などの取り組みをそれぞれの計画にしたがって進めてきているところです。
この2年間の林業・木材業界をめぐる諸情勢を振り返ると、18年度は外材の供給不安が一気に高まり、合板や集成材の価格が高騰し、木材全般の荷動きも堅調に推移しました。ところが、19年度になると、耐震偽装問題の再発防止を目的に実施された建築確認審査の厳格化の影響で住宅建築が大幅に停滞し、その影響で木材市況は一転して低迷することになりました。
このように目まぐるしく情勢が変化する中で、各地の林業・木材産地では、新生産システムによる取り組み以外でも製材、合板、集成材、プレカット工場といった加工流通の各セクターにおいて、国産材の利用拡大に向けた動きが著しく増加してきています。このことは需給や市況の変動とは関わりなく、国産材が有力資源として認識されるようになっていることを物語っています。今後は国産材に対するニーズがいっそう強まることが予想されます。
そうしたニーズに適切に対応するため、林業生産現場においては、引き続き原木安定供給のための取り組みを強化することが求められます。また、各加工事業体においては、原木を安定確保するための取り組みを強化するとともに、品質性能が確かな製品を安定して供給し、国産材製品の市場拡大を図っていかなければなりません。
それらの取り組みは新生産システムの目指す方向と合致したものであり、その意味で各モデル地域には、文字通り各産地の「モデル」としての成果を生み出すことが期待されます。本書では、事業スタートから2年間で実施された各モデル地域の代表的な取り組みを紹介するとともに、森林・所有者情報データベース事業の進捗状況をまとめました。広く関係者のご参考になれば幸いです。