新生産システム推進対策事業
新生産システムモデル地域・年度(平成21年度)
鹿児島圏域
対象流域一覧
大隅流域、南薩流域、北薩流域、姶良流域、熊毛流域
森林・所有者情報データベース事業運営者
鹿児島県森林組合連合会
担当コンサルタント
鹿児島大学
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地域材の安定供給・利用体制の構築を目指す |
当モデル地域の取り組みには、鹿児島県下の林業関係者、森林組合、流通業者のほぼすべてが参画。山元では集約化や高性能林業機械化を進めて素材生産力強化に取り組み、材の出荷にあたっては、鹿児島県森林組合連合会の原木流通情報センターが山土場での検収・販売を行うシステムの導入を進めている。
地域内の各取り組みの中で、薩摩半島の南九州市では、かごしま森林組合が高性能林業機械を駆使した間伐材の生産強化に取り組み、県森連の流通機能を活用した直送体制を構築。地域の有力加工事業者である南薩木材加工センターでは、加工能力を大幅に強化し、地域材の利用促進に取り組む計画である。
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■ 年間2万m3超の間伐材を生産 ~かごしま森林組合
かごしま森林組合(鹿児島県南九州市)は平成18年7月1日に地域の4森林組合が合併して発足した鹿児島県下最大の森林組合である。組合員数は3万4,240人で全国最大規模。作業班員は約120名で、年間素材生産量は2万2,000~2万3,000m3、森林整備面積は年間2,000haに達する。路網開設も直営で行っており、年間開設距離は4万5,000m。21年度にはGISとGPSを導入し組合員所有林の情報をデータ化するとともに、境界管理に力を入れている。20年度の事業総収益は18億円で、税引き後剰余金として約1,400万円を計上、前期繰越剰余金と合わせた未処分剰余金は約4,000万円を計上した。
現場作業の担い手に関しては、合併前の旧南薩森林組合が地元自治体の支援を受けながら月給制を導入して作業班員の若返りを図った結果、その取り組みを通じて雇用した林業技術職員26名が合併後の組合でも主力となっており、高性能林業機械のオペレーターなどとして活躍している。
現在、組合の保有機械は、プロセッサが1台(バケット容量0.3m3)、ハーベスタが1台(同)、フォワーダが5台、林内作業車が10台、バックホー(グラップル付き、あるいはスイングヤーダタイプ)が13~14台となっている。
施業法はすべて間伐で、選木は定性で行っている。現場には最大幅員3mの作業路を100~200m/haの密度で開設している。
施業地の確保に関しては、一定区域を何カ所かのブロックに区分し、各ブロックごとに間伐を徹底的に実施する独自の団地化戦略を展開してきた。事業実施にあたっては、間伐推進員(組合員、指導林家等)の協力を得ている。
出材した丸太については、そのほとんどを鹿児島県森連の原木流通情報センターを介して需要者に直送している。具体的な方法は、100~200m3を山土場に集積、それを県森連の担当者が検収し、販売先ごとに仕分けておき、土場渡しで販売するというもの。商流はセンターが管理。出荷者である組合はセンターに5%の手数料を支払う。
■ 22年度に規模拡大計画 ~南薩木材加工センター
かごしま森林組合の出荷先のひとつである(株)南薩木材加工センター(南九州市)は、平成6年度に稼働を開始した第3セクターの国産材製材工場である。年間原木消費量は1万5,000m3。製品はプレカット加工向けの一般建築部材で、ほとんどが邸別の受注生産である。乾燥機は高温蒸気式(容量20m3)が2基、中温蒸気式(同)が1基。製品のKD化率は25%。製品の出荷先は九州全域に広がっており、邸別にアッセンブルして出荷している。
22年度には製材設備を更新し、年間原木消費量を3万m3と倍に引き上げる計画である。増加分はすべてKD材とし、新規マーケットの開拓に取り組む。自動選別機も原木を20種類に選別できるものに更新(現行機種は12種類)し、よりきめ細かな仕分けを行うことで少量多品種の注文に的確に対応できるようにする。
また、現在も背板はすべてオガ粉に加工するなどオガ粉製造に力を入れているが、新たに丸太からオガ粉を製造する機械を導入し、製材用以外に年間1万m3の原木を受け入れてオガ粉を製造する(一部チップも製造予定)。このように低質材にも対応できる体制を整えることで、山で発生した材をすべて受け入れることができるようにし、地域材の有効活用を進めることにしている。
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南薩木材加工センターの ツインバンドソー |
邸別の注文に合わせて 製品を仕上げる |