新生産システム推進対策事業
新生産システムモデル地域・年度(平成19年度)
四国中東部
対象流域一覧
吉野川流域、那賀・海部川流域(以上徳島県)、東予流域(以上愛媛県)、嶺北仁淀流域、四万十流域(以上高知県)
森林・所有者情報データベース事業運営者
徳島県森林組合連合会、高知県森林組合連合会、新居森林組合
担当コンサルタント
(株)愛媛地域総合研究所、住友林業フォレストサービス(株)
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住友林住友林業フォレスト サービスの中間土場 |
■ 現場トレーニングで木材供給体制を構築
住友林業フォレストサービス(愛媛県新居浜市)は平成19年6月に高知県香美市繁藤に原木の中間土場を開設した。加工事業体との協定に基づく取り引きに活用するもので、山元から原木を直接受け入れ、土場で仕分けた上で製材工場などに直接販売している。取扱量は月間3,000m3。
土場の面積は1万5,000m2(1万m2と5,000m2の2面)。材の集出荷システムは、出荷者が持ち込んだ原木を同社が現金で買い取り、土場で仕分けした上で特定の顧客に販売するというもの。販売先への出荷は同社がトラックを手配している。
原木の買い上げ価格は周辺の原木市場より高めに設定することとし、3カ月ごとに見直している。材の検知は土場のスタッフ(常駐4名)が行い、25日締め、翌月10日払いで代金を支払う。
出荷者にとっては、原木を持ち込んだ段階で代金収入が確実に見込めるというメリットがある。早めの換金を望む出荷者には、同月中の内金支払い(15日締め、20日払い)にも応じる。
受け入れる原木はスギとヒノキの並材で、径級は2m材が末口20cm以上、3m材と4m材が末口9cm以上。3m材と4m材は直・小曲がり込みでの仕分けを基本として、14~16cmや18~24cmといった末口径ごとに単価を設定している。直・小曲がりを込みで仕分けているのは、仕分けを簡素化することでコストを下げるのが目的。その分を山元や販売先に還元し、原木取り扱い拠点としての競争力を高める。
土場への出荷者は森林所有者、素材生産業者、森林組合など。販売先はグループ企業である住友林業クレストの合板工場(徳島県小松島市)や製材工場、集成材ラミナなど。
従来の原木市場は、委託販売が基本で、競りや入札で売買が確定してからでないと出荷者は売上げを手にすることができなかった。そうした市売り方式は、最新情勢を反映した適正価格の形成という面では効果を発揮する。しかし、昨今のように合板や集成材といった大口顧客が国産材への引き合いを強め、また製材工場の大型化も進んでいる状況からすると、旧来の市売りシステムでは手間や時間のロスによるマイナス効果の方が問題視される傾向がある。
その点、住友林業フォレストサービスの中間土場は
現金決済というスピード感が出荷者に好感されることは間違いなく、実際に取扱量も順調に増やしている。同社では今後、立木の買取りにも取り組み、より安定した供給体制の構築を図る。
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現金決現金決済システムにより、原木を安定して確保している |
森林所有者や素材生産業者、森林組合が原木を持ち込んでいる |
森林・所有者情報データベース事業 新居森林組合
■GIS化推進、見積もりソフトを充実
新居森林組合では平成7年(旧西条市森林組合時代)に独自ソフトを開発しGISを導入。その後、9年には旧新居浜市森林組合管内にも導入している。そのため、本事業ではそれら2地域以外の旧別子山村の森林を中心にデータベースを作成する。
旧別子山村の森林は約7,000ha。その58%は住友林業の社有林で、他は市有林22%、私有林が20%となっている。18年度は零細所有者が中心の私有林を対象にデータベース化を進め、19年度は周辺の大規模団地も取り込んだデータベースづくりに取り組んでいる。18年度は1,452ha、19年度は2,957haをGIS化した。今後、地域座談会等を通じて伐採希望を募り、データの公開を進める。
また、立木在庫管理ソフトと施業見積もりソフトの充実を図り、森林所有者に適切な見積もりを提示できるシステムを確立した。