新生産システム推進対策事業
新生産システムモデル地域・年度(平成19年度)
四国地域
対象流域一覧
吉野川流域、那賀・海部川流域(以上徳島県)、東予流域、中予山岳流域(以上愛媛県)、嶺北仁淀流域、四万十流域(以上高知県)
森林・所有者情報データベース事業運営者
徳島県森林組合連合会、上浮穴林材業振興会議、高知県森林組合連合会、新居森林組合
担当コンサルタント
(株)愛媛地域総合研究所
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■ 各地域の取り組みの概要
徳島、愛媛、高知の3県にまたがる広範な地域をひとつのモデル地域としているが、実際にはその中で4つの小地域の取り組みが展開することになる。当面はそれぞれの地域が個別に新生産システムによる事業を進め、将来的にはその成果を共有することによって、一層の発展を図ることになっている。
徳島東南部地域は、「林業再生プロジェクト」で高性能林業機械を駆使した作業システムの確立による生産効率アップを進め、加工面では人工乾燥機の導入促進による製材品の品質向上、プレカット工場による国産材加工の推進に取り組んでいる。
当地はもともと足場板の産地で、そのノウハウを生かした内装加工板の生産が盛んに行われている。品質面では乾燥を重視し、天然乾燥と人工乾燥を組み合わせた低コスト乾燥システムを確立しているほか、複数社で品質を統一し、供給力を高めるといった取り組みも進めている。販売面では首都圏の展示会への出展を機に販路拡大を実現、全国から引き合いが増えている。
中予山岳地域は、年間原木消費量7万m3の能力(1シフト)を有する久万広域森林組合の大型製材工場(父野川事業所)が加工セクションの中核で、高性能製材ラインを活用して質の高い製材品を製造している。主要製造品目はスギの間柱で、ハウスメーカーなどへの販路拡大を図っている。
山元では平成17年度から愛媛県で実施している「久万林業活性化プロジェクト」とも連携しつつ、林地の集約化・森林施業プラン作成による間伐推進・素材安定供給体制の構築に取り組んでいる。また、立木の客観的な評価基準作成、立木ストックの確保なども進め、新たな素材流通システムを構築する。
嶺北仁淀・東予地域は、直属の素材生産部門を有し、製材工場の経営する㈱ソニアが取り組みの中核。
製材工場は同社の直接経営に移行してから2年が経過し、シフト数の増加、人工乾燥材生産体制の強化、製造ライン管理の適正化などの取り組みを着実に進めてきており、着実に利益が見込める経営体質を徐々に実現できている。
製品の品質管理は徹底しており、含水率もデータを綿密に管理して信頼性の高めている。
コンサルタントの協力も得て、住宅建設に直接製品を供給するルートの構築も進行中。山元の素材生産体制も整備して原木の安定供給を図り、最川下の消費者まで一貫体制で連結したシステム構築を目指す。
四国中東部地域は、住友林業フォレストサービスが原木の安定供給を担う集出荷拠点として中心的な役割を果たしている。平成19年度には高知県に現金決済で原木を買い取る中間土場を開設。換金性の早さが出荷者に好感され、着実に取扱量を伸ばしている。
需要面では住友林業グループのネットワークを生かし、安定した受け皿を確保。川上から川下までのスムーズな流れが可能な体制を確立している。
今後は立木段階での買い取りにも取り組み、材の安定確保を図る。
山元では植栽本数を減らした低コスト植栽方式を実験的に導入し、効果を検証している。