新生産システム推進対策事業
新生産システムモデル地域・年度(平成19年度)
徳島東南部
対象流域一覧
吉野川流域、那賀・海部川流域
森林・所有者情報データベース事業運営者
徳島県森林組合連合会
担当コンサルタント
徳島県木材協同組合連合会
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中千木材の製材ライン |
■ スギ無垢加工板を共通品質で出荷
システム事業体である製材工場が参画している那賀川すぎ共販協同組合(西野商店、徳島製材所、中千木材、佐々木木材店、アルボレックス、岡久製材所)では、「セーフティボード」(SB)のブランド名でスギ無垢加工板の製造販売に取り組んでいる。
SBは防カビ剤や塗料、接着剤などをいっさい使用しない無垢そのものの製品で、スギ本来の色合いや肌触りの良さ、さらには安定した品質がセールスポイント。用途は床や壁、下地などである。
組合員各社が共通した品質で出荷できる体制を整えていることも大きな特徴。そのため、各社が保有するモルダーの歯型を統一するとともに、製品の形状を模したアルミ製の金型を各社が保有し、寸法精度に狂いがないように品質をチェックするようにしている。乾燥についても、同タイプの含水率計(マイクロ波方式)を配備し、品質基準(含水率12~15%)に適合した製品を出荷できるようにしている。
組合員のひとつ、中千木材(阿南市)では、従来、乾燥については、組合所有の施設(アルボレックスの工場敷地内に設置)を利用していたが、平成18年度に自社工場に人工乾燥機を導入。モルダーも高性能タイプに入れ替えて、品質向上を図っている。
月間原木消費量は1,200m3ほど。調達する原木は50~60年生の木頭スギ。1日当たりの加工量は800枚程度(4mベース)で、月間では1万5,000~1万6,000枚(同)のSBを製造している。
乾燥は天然乾燥(板厚により2カ月~1年程度)で含水率20%程度に落とし、50~60℃の人工乾燥で仕上げる天然乾燥と人工乾燥を組み合わせる方式。天然乾燥で前処理を行うことによって、乾燥コストを縮減している。人工乾燥時の温度を低めに設定しているのは、スギ本来の色艶を損なわないようにするため。
19年11月には東京ビッグサイトで開催されたジャパンホームショーに出展。安定した品質が評価されて全国から注文やサンプル送付の依頼が相次ぎ、販路拡大を果たしている。
なお、同協組では厚さ30㎜のSBを柱間に落としこ
んで壁を構成する「板倉の家」の供給も進めている。同工法は自然素材であるスギ無垢材をふんだんに利用
していることがセールスポイントで、床板や野地板にもSBを使用している。1坪当たりの木材使用量は1.5m3ほどと一般的な木造住宅の3倍程度にもなる。耐震性能にもすぐれ、壁倍率最大2.2倍の認定を取得。30分耐火の認定も取得している。
供給に際しては、システム事業体であるシンサンなどのプレカット工場が構造材の部材加工を担当し、中京や首都圏に出荷している。なお、シンサンは18年度に長尺物(10mまで)対応ラインを導入、国産材の加工能力を高めている。
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天然乾燥されるセーフティーボードの原板 |
シンサンのプレカットライン |
森林・所有者情報データベース事業 徳島県森林組合連合会
■18~19年度で170haのデータベースを作成
徳島県西部の美馬地域で18年度には41ha、19年度には129haのデータベースを作成した。最終的には22年度までの5カ年で500ha分のデータベースを構築することを目指している。調査は美馬森林組合と㈱ウッドピアが担当した。システム開発は18~19年度の2カ年間で実施。19年度内に公開する運び。
Web上でのデータが重くなることを避けるため、データベースには森林GISを連結していない。対象林地の位置はヤフーなど既往の地図システムにリンクさせて表示し、大まかな場所が把握できるようにしている。ただし、個人情報保護に配慮し、対象地が特定できないようにしている。詳しい情報の入手を希望する利用者には、データベース管理者である県森連や地元森林組合に問い合わせてもらう。