新生産システム推進対策事業
新生産システムモデル地域・年度(平成20年度)
大分
対象流域一覧
大分中部流域、大分南部流域、大分西部流域、大分北部流域
森林・所有者情報データベース事業運営者
大分県森林組合連合会
担当コンサルタント
NPO法人FORI森林誌研究所
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日田市森林組合の共販所 |
大分西部流域の日田地域を中心とした取り組みを展開。全国有数の国産材原木集散地であり、多数の原木市場が立地している同地域の特性を生かし、市場も参画した協定取引の推進に取り組んでいる。原木の協定取引に関しては、年間6万m3の原木を取り扱っている日田市森林組合がすでに取扱い数量の1割を協定に基づいて販売している。
加工面では、参画している製材工場が他のモデル地域に先駆けて施設整備を済ませ、品質アップ・供給力強化を実現。景気悪化で市況が低迷する中、販売促進努力を続けている。
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■ 新生産システムの協定取引きが全取扱量の1割に
~日田市森林組合~
年間原木取扱量は17年が5万m
3であったが、それを5年後には7万m
3台に引き上げることを計画している。これまでの実績は18年が5万8,000m
3、19年が6万1,000m
3で、順調に増やしてきており、20年も6万1,000m
3を計画している。しかし、経済情勢が悪化しているため、目標達成が難しい情勢になっている。
新生産システムに基づく協定販売は19年7月からスタート。対象は6社で、現在、販売量の10%を協定に基づいて販売している。販売価格は直前の市の出来値を参考にして決定している。また、そのほかにやはり全体の10%程度を合板工場向けに協定販売している。そうした新しい販売方法が旧来の競りによる販売と刺激し合って価格を形成するという傾向が生まれている。ただし、21年の年明け以降は合板工場への出荷が鈍っている。
今後、同組合では、共販市場を経営している近隣の森林組合と原木の生産情報を共有することなどにより、原木流通市場での地位向上に努める方針。その一方で、山元の森林所有者に対しては、単位森林組合としての立場を生かして細やかに対応することにより、森林整備を促進するとともに、原木を安定的に出荷できるようにしていくことにしている。
■ 協定取引スタートで仕入れ面での苦労が解消
~安心院製材所~
昭和60年ごろからスギ足場板の生産を開始。平成3年に台風19号によって大量の風倒木が発生し、その処理が必要になったことをきっかけに柱工場を建設した。現在、柱工場では年間1万2,000m
3のスギ原木を消費している。柱製品は大分方式乾燥材を含め、すべて人工乾燥材として出荷している。人工乾燥機は容量40m
3が4基。仕向け地は北陸から関東が中心で、商社を通して販売している。
原木を協定に基づいて調達できるようになったことで、仕入れ面での苦労が解消された。一方、販売面ではある程度の苦労を伴うのが商売の世界では当然と受け止めている。しかし、昨今の景気低迷による引き合いの鈍化は、川下のスギに対するニーズがようやく高まりつつある時だっただけに厳しいものがある。安定した品質の製品を供給できるというセールスポイントをアピールしつつ、引き続き販売促進努力を重ねて局面の打開を図っていく。
■ 平角など多様な製品の供給力を強化
~武内製材所~
平成18年度に人工乾燥機1基(従来機と合わせて合計3基に増強)、ボイラー、プレーナー、ギャングリッパーを導入。中目クラス以上の丸太を原料とした平角や平角を原盤とした小割類など、多様な製品の供給力を強化している。
もともとの主力製品は4mの母屋桁(3寸角、3寸5分角、4寸角)、6mの長柱(3寸5分角、4寸角)。しかし、日田材は直材比率が30%程度で、末口14~20cm程度のA材の出材量が少ないため、ラインの稼働率を上げるためには、径級の大きな原木を手当てする必要がある。そのために平角やそれを原盤にした製品の生産に対応することにして、2次加工に類する部分の設備整備を行った。
17年度の原木消費量は1万m
3。それを新生産システムによる設備整備によって1万3,000m
3に引き上げることを計画していた。すでにその水準は達成されている。
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武内製材所の製材ライン |
武内製材所のストックヤード |