新生産システム推進対策事業
新生産システムモデル地域・年度(平成19年度)
秋田
対象流域一覧
米代川流域、雄物川流域、子吉川流域
森林・所有者情報データベース事業運営者
秋田県森林組合連合会
担当コンサルタント
秋田県立大学木材高度加工研究所
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沓澤製材所の人工乾燥機 |
団地化の促進や機械化の推進、データベース整備を通じて山元の木材供給体制を構築するとともに、既存製材工場の能力アップを進める。加工事業体は10事業体が参画しており、乾燥材生産供給体制の整備などによって製品の高品質化を図り、競争力を向上させる。
製品はスギ柱角や梁桁などの構造材から羽柄材、内装材など。当地域では全般的に人工林材の大径化が進んでいるため、板材の生産も増えてきている。
出荷に当たっては、複数工場が協力体制を構築し、多様な注文に対応できる体制の整備も進めている。
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■ 乾燥材生産体制を強化
~大館北秋田森林組合~
大館北秋田森林組合(本所=北秋田市)は、平成17年4月1日に、旧大館比内森林組合、旧北秋田森林組合、旧阿仁森吉森林組合、旧田代森林組合が合併して発足した。組合員数は約7,000人、出資金総額は3億5,000万円の大型組合である。
当組合では大館比内事業所(旧大館比内森林組合)と北秋田事業所(旧北秋田森林組合)で製材事業を展開している。大館比内事業所の工場は、主に構造材を生産し、出荷先は問屋などの流通業者やプレカット工場が中心。一方、北秋田事業所では床材や羽目板など内装仕上げ材を主力品目としており、出荷先も工務店や設計事務所などとなっている。
当組合では合併前から人工乾燥に力を入れる方針を決め、販売先の掘り起しなどの準備を進めてきた(旧北秋田森林組合では旧鷹巣町森林組合時代の平成5年に人工乾燥機を導入し、乾燥材の生産に着手)。平成18年度には北秋田事業所と大館比内事業所に減圧蒸気式乾燥機を2基ずつ導入、乾燥材の生産を強化した。
現在の原木消費量は2工場合計で約2万m
3。製材品生産量は1万1,000m
3で、そのうちの8,000m
3
が住宅向け資材、他は土木用材とホームセンター向けの製品となっている。製材品のうち6,000m
3は人工乾燥材として出荷することを目指す。
北秋田、大館比内各事業所それぞれの乾燥材生産状況は、北秋田事業所ではすでに土木用材以外はすべて乾燥材として出荷しており、大館比内事業所については、乾燥材比率が50%となっている。市場調査の結果、未乾燥材の市場性はほとんどなく、今後は大館比内事業所の乾燥材比率を早急に高めていく。
乾燥方法は、柱角や平角は高温のドライングセット(16~24時間)で表面割れを防止し、その後、中温で乾燥を進める方式。内装材については中温での乾燥を採用している。乾燥機が減圧タイプ(0.2気圧までの減圧が可能)のため、沸点を80℃とした中温域での効率的な乾燥処理が可能となっている。減圧タイプによる中温での乾燥処理を採用したのは、スギの色艶を生かし、材の劣化を避けるため。無垢材の場合は、木が持っている本来の風合いを生かすことが差別化につながるとの考えがベースにある。
含水率は内装材が10~14%、構造材が18~20%。構造材については、含水率とヤング係数を印字する体制も整えており、プレカット工場向けに出荷する製品は、すべてそれらの性能を明示している。
■ 板材中心の生産体制を強化、品質管理には定評
~沓澤製材所~
㈱沓澤製材所(大館市)は昭和2年創業。もともとは桶樽メーカーとしてスタートした。桶樽の生産は続けているが、現在は製材事業を主力とした経営を展開している。
製材事業は現在、年間原木消費量が1万6,000m
3(製材歩留まりは55%)。これを平成22年度には2万3,000m
3に引き上げる計画だ。19年度にはリングバーカー、ツインバンドソー、人工乾燥機2基(高温タイプと中温タイプ。容量はともに30m
3)を新規に導入した。人工乾燥機は従来からのもの(20m
3タイプ×2基、中温タイプ)と合わせて合計4基となり、
本腰を入れて乾燥材生産に取り組む。これは最近、タルキや胴縁といった下地材に関しても、乾燥材が求められるようになってきているため。
製品は板材が中心で、19年度の設備導入も板材生産を強化するのが目的である。品目は破風板、ヌキ、タルキ、野縁、各種内装仕上げ板で、羽柄材製品は12尺物(長さ3.65m)を主体に生産している。内装仕上げ板は実を長くして目透かし部分を多くとり、施工後に隙間が生じにくくしてあるのが特徴。また、仕上げ時の美観を重視しているため、木裏、木表に関係なく、良い面を表としている。
製品の製造に当たってはJAS規格を重視。毎年開催されているJAS製材品普及推進展示会では、平成2年度以来19年度まで18年連続で上位入賞を果たし、農林大臣水産賞、消費・安全局長賞(旧食品流通局長賞)、林野庁長官賞(6回受賞)のいずれかを受賞しており、品質管理の確かさには定評がある。
販売については、常に売り先を確保した即納体制を整えており、製品の回転が速い無在庫での経営を実践している。
また、原木の調達先である大館北秋田森林組合の大館比内事業所とは、双方の得意分野を生かし、同社が板類を、森林組合が柱などの角物をそろえて取引先に一括で納入する連携販売も行っている。
■ 秋田県森林組合連合会
■公開データに周知期間を置いて公平性を確保
これまでの事業実績は、現況調査実施対象林分が18年度は101ha(見込み材積6,600m
3、延登録者20名)、19年度は275ha(見込み材積1万m
3、延登録者250名)。今後は20~22年度の各年とも250ha(見込み材積1万m
3、延登録者250人)の調査・登録を目指す。
調査はデータベース公開の承諾を得た上で実施している。所有者には財産管理上、価値評価の有効な手段になるというメリットを説明し、協力を呼びかけている。ただし、このシステムでは所有者におおよその予想価格は知らせているものの、価格の見積もりまでは行っていない。これは、現地調査が標準地調査であり、毎木調査ではないため。
また、データベース公開から一定期間(2週間程度を想定)は周知期間を置き、利用者間で公平な競争が確保されるようにしている。
森林・所有者情報データベース事業 秋田県森林組合連合会
■公開データに周知期間を置いて公平性を確保
これまでの事業実績は、現況調査実施対象林分が18年度は101ha(見込み材積6,600m
3、延登録者20名)、19年度は275ha(見込み材積1万m
3、延登録者250名)。今後は20~22年度の各年とも250ha(見込み材積1万m
3、延登録者250人)の調査・登録を目指す。
調査はデータベース公開の承諾を得た上で実施している。所有者には財産管理上、価値評価の有効な手段になるというメリットを説明し、協力を呼びかけている。ただし、このシステムでは所有者におおよその予想価格は知らせているものの、価格の見積もりまでは行っていない。これは、現地調査が標準地調査であり、毎木調査ではないため。
また、データベース公開から一定期間(2週間程度を想定)は周知期間を置き、利用者間で公平な競争が確保されるようにしている。